映画【ノイズ 】考察とネタバレ ひまわりが咲いていたので…、絵日記の意味は?


映画「ノイズ noise」を観ました。

原作が漫画家・筒井哲也だったし、豪華キャストで面白そうだったのと、
なぜか映画に対する酷評コメントがありすぎて(笑)、

どんな内容なんだろうと興味をもったのです。


↑この映画は良かった。漫画家・筒井哲也「予告犯」原作。

映画「ノイズ noise」


漫画家・筒井哲也のコミック「ノイズ【noise】」が原作のサスペンス映画です。
藤原竜也と松山ケンイチのダブル主演によって実写映画化され話題となりました。

主要人物

泉 圭太(藤原竜也)

架空の町・猪狩島でいずみ農園を営み、名産品「黒イチジク」を生産し島の復興に貢献しようとしている。過疎化が進む島では、救世主的存在。妻(加奈)と娘(恵里奈)の3人で幸せな家庭を築いている。

田辺 純(松山ケンイチ)

圭太の親友の猟師。
圭太の家族と仲が良く加奈に好意を抱いている。

守屋真一郎(神木隆之介)

圭太と純を兄のように慕う。正義感にあふれ母親を大切にする心優しい青年。新米駐在員として島に戻ってきた警察官。ずっとこの島の駐在員になるのが夢だった。

庄司華江(余貴美子)

猪狩島の町長。一見朗らかで面倒見がいいが、実は金に汚く強欲。
部下の対応は酷い。

畠山努(永瀬正敏)

事件を追って猪狩島に降り立った県警のベテラン刑事。

小御坂睦雄(渡辺大知)

少女の強姦殺人で服役していた元受刑者。
保護司とともに職を求め猪狩島にやってくる。

あらすじ

絶海の孤島、猪狩町でのサスペンスです。

交付金5億円が内定し、過疎に苦しむ島に明るい未来が見えた矢先、
誤って殺人を犯してしまった圭太(藤原竜也)たち。

島の未来と大切な家族を守る為、親友らとともに隠蔽工作することにしてしまいます。

そこから、島の日常は崩れ落ち、少しずつ狂っていく。

ひまわりの絵日記の意味は?

ひまわりの描かれた絵日記が、
映画の最初と最後に言葉となって出てきて、とても気になります。

何か重要な意味が隠されているのではないでしょうか?

恵里奈の絵日記

1枚目:朝起きたらひまわりが咲いてたので(ひまわり2つの絵)
2枚目:みんなで遊園地に遊びに行きました。(圭太、加奈、恵里奈、純が遊園地にいる絵)
3枚目:とっても暑かったのでアイスクリームを食べました。とっても美味しかったです。
(3枚目の絵は画面には少ししか出されません。)


泉 圭太(藤原竜也)がエンディングで、
この絵日記を読みながら、むせび泣いて映画は終わります。

恵里奈の絵日記

3枚目の絵にはどんなことが描かれていたのでしょう?
映画の最初、恵里奈が絵を描く姿、最後と3回もこの絵日記がでてきます。

Aさん
Aさん

純、圭太が描かれていない絵なんじゃない?どうでもいい内容。

Bさん
Bさん

絵は空想。意味はないでしょう。島を出て行きたかった加奈、恵里奈の気持ちを理解できていなかったから、ふがいなさに泣いたんでしょう。

と考える人も多いようでした。


それだけの為の絵なのでしょうか?

刑務所で、加奈が「覚えている?」と言って、
恵里奈の絵日記を見せます。

圭太も見たことのある絵という事が分かります。

朝起きたらひまわりが咲いてたので、みんなで遊園地に遊びに行きました。
とっても暑かったのでアイスクリームを食べました。とっても美味しかったです。

朝起きてひまわりが咲いて、みんなで遊園地に遊びに行って
アイスクリームを食べて美味しかったという、

いかにも子どもが描きそうな、大人にとってはどうでもいいような話です。

しかも、島には遊園地なんてないし、辺り一面、花を咲かせない、いちじく畑。交付金の事もあるし、農作業に忙しい圭太が家族を連れて純も一緒に、遊園地に行ったというのも考えられません。


確かに、島の外に出たい恵里奈の夢の話、願望を描いただけのように見えます。

【イチジク(無花果)】イチジクの花は、イチジクの内側(食べている実の部分)にあって、外からは見えません。花が咲かないのに実をつけている思われていたので、イチジクは「無花果」の漢字が使われているとも言われます。


このよく分からない絵が3回も出てくることに
なにか別の意味があるんじゃないかと思い考えてみました。

恵里奈の心


恵里奈の絵日記

1枚目:朝起きたらひまわりが咲いてたので(ひまわり2つの絵)
2枚目:みんなで遊園地に遊びに行きました。(圭太、加奈、恵里奈、純が遊園地にいる絵)
3枚目:とっても暑かったのでアイスクリームを食べました。とっても美味しかったです。
(3枚目の絵は画面には少ししか出されません。)

この絵日記は、たしかに事実を描いていない。

が、事実を言っている・・・。のではないかと思いました。

最後の絵ははっきりと見えませんが、
英語のような文字にも見えます。映画のタイトルも英語を使っているし。

島を出たいと考えていた加奈ですが、

もしかすると、加奈はもっと広い世界、どこか遠くの外国へ行く夢もあって、
恵里奈に英語を教えてたら?

「ひまわり」「遊園地」「アイスクリーム」「美味しかった」のキーワードを
アナグラムで考察してみました。

アナグラム

アナグラム(anagram)とは、

言葉遊びの一つで、単語または文の中の文字をいくつか入れ替えることによって、
全く別の意味にさせる遊びです。

例)稲垣吾郎(いながきごろう)→老後、長生き(ろうごながいき)

恵里奈の絵日記をアナグラムで解読してみましょう。

キーワード

この絵日記で気になるキーワードは、

「ひまわり」、「遊園地」、「アイスクリーム」、「おいしかった」

・ひまわり→英語:sunflower → wolfe runs→ ウルフ(オオカミ)が走る

・ゆうえんち→英語:amusement パーク → summate(要約)

・アイスクリーム→英語:Ice cream → I scream(私は叫んだ)

・おいしかった→英語:yummy → mumyy(マミー)→お母さーん


アメリカ英語でお母さんはマム(mam,mom)
イギリス英語でお母さんマム(mum)

マミー(mumyy)は、mummy(ミイラ)とかけている?

お母さんはオオカミに食べられて死んでしまう。


4人で仲良く暮らしているように思えたのは大人だけで、
実は恵里奈は、とうの昔にオオカミ(純)の存在に気付いていたんじゃないのかな?

圭太は学生の頃に「加奈を守る」と宣言してからずっと守ってきた。

同じく純も「ずっとそばにいるから」と学生の頃に言った通り
加奈が圭太と結婚しても、なおもしつこく加奈の側に居続けている。

島での人間関係も狭いが、この3人の関係はもっと狭く束縛しあっている。

子どもの恵里奈は、その異様な関係に気付いていたんじゃないでしょうか?

もう1つのひまわり(オオカミ)は、小御坂です。


恵里奈の描いた3枚目の絵

さいごに描かれていたのはパパ(圭太)の絵だと思います。

恵里奈が絵を描いている時に、
「パパは(どこ)?」と純にたずねています。

「遠くに行っちゃったから、しばらく帰って来ないんじゃないかな?恵里奈がいい子にしていたら、そうのうち帰ってくるかもね。」


いい子にしていたら・・・恵里奈には脅しに聞こえたかもしれません。


「ひまわり」、「遊園地」、「アイスクリーム」、「おいしかった」

空想のようなお絵かきは暗号。

パパ気付いて!どこにいるの?助けて!の気持ちで
3枚目の絵にパパ(圭太)の絵を描いたと思います。

でも、オオカミ(純)の前ではそんなこと決して言ってはいけない。気持ちを絵に収めたのではないでしょうか?


そんな敏感な恵里奈だったから、

小児性愛者の小御坂が近づいた時にも、とっさに、ママを守る為に加奈には助けを求めず
庄吉おじさんのところにうまく逃げ込むことができたのでしょう。

服がスカートからズボンに変わったのは、逃げるのに必死で汚れてしまって、何も知らない加奈がただ単に着替えさせただけだと思います。現に、怖い思いをしたはずなのに、加奈には何も言っていない様子でした。

エンディング

「圭太が刑務所の中を恵里奈の絵日記を読みながら涙する場面」
「加奈と恵里奈が純と暮らす場面」
「猟をしている純の場面」

がでてきます。

ここで、映画は終わります。

Aさん
Aさん

ありきたりな結末。つまらない。

Bさん
Bさん

はっきりしない終わり方。よく分からない。

の意見も多かったですが、

映像だけでなく、音に注目してみます。

「猟をしている純の場面」で、

純は実弾を使って何かを撃っている様子が映し出されます。(1発目)
2発目は音のみ。

狩猟できる期間、猟期(りょうき)は日本の法律で定められていて
原則11月15日~翌年2月15日(北海道は10月1日~翌年1月31日)。

純たちのいる島は、愛知県。

部屋にあったカレンダーは、10月でした。
まだ猟をしてはいけない期間です。なのに狩猟?
凶悪犯罪者が来た時でさえ、実弾をつかわなかった純なのに。小御坂は、狩猟期間を知っていたので銃を向けられても、どうせ弾なんて入ってねえんだろ!と言えたのでしょう。

おそらく、純が撃ったのは、加奈。

次に2発目が響きます。
2発目は自分(純)だと思います。

加奈は、「いつまでも圭太を待ち続けるから」と純に言っています。

圭太を刑務所に閉じ込めたのに、
まだ、圭太によりそう加奈。

こんなにまでしたのに・・・。

加奈が圭太と結婚しても、なおも加奈の側に居続けていた純です。
純の頭の中も部屋も、加奈のことでいっぱい。

「いつまでも圭太を待ち続けるから」と加奈に言われ、

もうこのままでは、
ずっと加奈のそばにいられないと思ったから、(いずれ、あの敏腕刑事が真相を掴んで圭太は出てくる。)加奈を撃って自分も加奈のそばで死のうと考えたのではないかと思っています。

「ずっとそばにいるから」と学生の頃に言った通りに、一生そばにいたいと思ったから、一緒に死ぬ。

狭い範囲での生活は、
視野が限られてしまい自分の世界でしか見る事ができなくなってしまいます。

新米警察官の守屋もそうです。

責任感を持って考える姿勢は立派ですが
すべてを自分の考えだけでこなそうとする。何でも話せていた母親にさえ相談することもできなかった。

しょせん自分だけの小さな世界です。

考えたところで、
自分の狭い知識・経験の範囲でしか考えることができなくなり行き詰ってしまう。

物事を的確に判断することができなくなってしまっているのです。





さいごに

この映画は恵里奈の絵に絞って考えてみました。

まったく的外れな事を言ってるかもしれませんが。

猪狩島にとって、小御坂、刑事、事件がノイズ、部下にとって庄司町長がノイズ、純にとって圭太がノイズ、圭太にとって加奈、純の本音がノイズ、・・・すべての人に誰かのノイズがあった。小さな子どもの恵里奈にも。

本当の心の奥底に潜む人々の「ノイズ(noise)」に
気づかないこともたくさんあるのかもしれませんね。

恵里奈は両親がいなくなったら、また島の人々に育てられるでしょう。圭太や加奈、純の時と同じように・・・。

純や圭太の長い歳月の思い込みや狭い世界での知識・経験がいつまでも変わらずに続く。事件の解明も長くなる。いずれ畠山刑事が謎を解いてくれるでしょうけど。

原作の漫画でも内容は違うようですが、最後に「長い取り調べになりそうだな」で終わるんですよね!?

やっぱりノイズのタイトルもアナグラムで

noise → is eon(永劫です。)

に見えてしまいます(笑)


あなたも私も気づかないだけで、誰かのノイズ(noise)になっているかもね。
かもねじゃなくて、必ずなっていますよ(笑)

この映画は、日本の縮図のような気もします。

漫画と映画はストーリーが違うようですが、
ぜひ、漫画も読んでみたいと思いました。



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