「予告犯」の原作(漫画)は見たことがないのですが
映画「予告犯」は、悲しくて切なくて・・・
最初はどうでもいい面白くない映画だと思っていたのですが、
最後の最後で涙してしまいました(;_;)
何がしたいかって?
まあ、黙ってみてろよ。
明日の予告を教えてやる。引用:予告犯
登場人物
動画に登場する男が、新聞紙で作った覆面をし、犯罪予告を繰り返していきます。
新聞紙をかぶって顔を見せなかったため、
ネットで「シンブンシ」と呼ばれるようになります。
登場人物
予告犯グループ「シンブンシ」たち4人(ゲイツ、カンサイ、メタボ、ノビタ)。
ゲイツ:奥田宏明(俳優 生田斗真)
コンピューターネットワークの技術に詳しい予告犯グループの主犯格。
もとはIT会社の派遣社員のコンピュータープログラマー。
ネットワークを介して、PCを遠隔操作したり、
会社のデータベースを社外から改鼠するなどやってのけてしまいます。
派遣社員として働いていたIT会社で「3年勤めたら正社員採用」という約束を
社長に反故(ほご)され、パワーハラスメントの上、退職に追い込まれます。
カンサイ:葛西智彦(俳優 鈴木亮平)
大阪出身のもとロックミュージシャン。関西弁を話すからあだ名はカンサイ。
音楽の道を目指していたが、バンド活動は芳しくなく途中で解散。
熱烈なファン(自殺願望の強いファン)の1人からもらった
ペンダントトップ(20人分の致死量の青酸カリ入り)を持っている。
メタボ:寺原真一(俳優 荒川良々)
小太りのメタボ体型の男。実家の工務店を継ぐ予定だったがギャンブルにはまり諦めてしまう。「は~い。了解でーす」が口癖。
ノビタ:木村浩一(俳優 濱田岳)
メガネの気弱い青年。ドラえもんの登場人物のあだ名を付けられる。
無口で女性と上手く話すことができない引きこもり。仕事をしたことがないニート。
ヒョロ:ネルソン・カトー・リカルテ (俳優 福山康平)
日系フィリピン人。無邪気で純真。明るい性格で、日本人である父親を探す為に腎臓を一つ売ってまでして費用を捻出し来日する。痩せているから、あだ名がヒョロ。
吉野 絵里香:(俳優 戸田恵梨香)
警視庁サイバー犯罪対策課の班長。わずか26歳にして警部補に上り詰めた東京大学卒のエリート。幼いころは、家庭が貧しく給食費も払えないほどで自殺を考えたこともある。
明日の予告を教えてやる
「シンブンシ」が、ネットを使って世間に復讐宣言をしていきます。
シンブンシは、社会の不条理な出来事を起こした「悪い奴ら」にバツを与えていくのです。
悪いことをしたものには「制裁」を。
まるで、犯行に哲学を持っているかのように。
ネット民に語り掛け、同じ心境を持つネット民たちを次々と見方に付けていきます。
模倣犯も現れるほど大きな話題、社会現象を巻き起こすまでになっていきました。
頭脳明晰なゲイツの計画は、サイバー犯罪対策課の裏をかいて翻弄させていきます。
ターゲットにされた人物・企業・団体
- 食中毒事件を起こした食品会社。社長は無責任な発言→会社に放火、全焼。
- 店のフライヤーでゴキブリを揚げSNSに投稿した飲食店員→揚げたゴキブリを食べさせる。
- 性的暴行を加えた大学生→全裸にし性的暴行。
- 面接に来た志望者をSNSで馬鹿にした会社員→金属バットで暴行。
- ネット規制する政治家→殺害予告。
最後の予告配信
シンブンシ4人は、最後の予告を実行しようとしていました。
最後の予告をシンブンシがします。
最後の予告は、
シンブンシを処刑する。
その様子をインターネットで生中継する。
というものでした。
それは、自殺配信。
シンブンシ4人は新聞紙の覆面を取り素顔を見せ、青酸カリ入りのカプセルを飲みます。
ここまでの話までは、
つまらない話で単純な話になってきたな。
最後は全員死んで終わりなのかな?
それだったら、まったく面白くない薄っぺらい映画だな。
とか思って見ていました。
真の犯行目的 ネタバレ
人生の夢
社会生活をする上で、どこにも居場所がなく、
違法で過酷な肉体労働をさせられる小屋で知り合った5人。
夢はある?
ゲイツの問いにそれぞれが答えます。
カンサイ 葛西智彦(俳優 鈴木亮平)→一発デカイことしたい
メタボ 寺原真一(俳優 荒川良々)→回らない寿司を食べたい
のびた 木村浩一(俳優 濱田岳)→彼女がほしい
ヒョロ ネルソン・カトー・リカルテ(俳優 福山康平)→父ちゃんに会いたい
予告犯の一連の犯行は、
死んだ友達、ヒョロの願いを叶えるためでした。
そして、最後にすべてのシンブンシメンバーの願いが叶います。
本当の友達
違法な闇小屋で過酷な労働をしながら共同生活をしていたゲイツたち。
現場責任者を殺めてしまったので、もう普通の社会には戻る事はできません。
考えたついた彼らの行先は、死ぬことだけでした。
もし万が一、最後まで生き残ってしまったら?
死んだヤツに全部責任を負わせればいい。全部、メタボのせいですって(笑)
ゲイツが冗談まじりに言った言葉です。
ゲイツの夢
シンブンシたち全員が青酸カリを飲みこみ自殺を図ったのですが、
目覚めた場所は病院でした。
ただし、生き残ったのは、
ゲイツを除く3人。
病床で、いつのまにかゲイツだけが主犯格になっている動画を警察官に見せつけられながら、生き残った仲間たちが(涙を堪えつつ)主犯格になっているゲイツのことを陳述するシーン。
俳優の演技も良く大泣きです(;_;)
ここで口を割ったら、
仲間の願い(普通の社会に戻る事)を叶えるために犠牲になった
ゲイツの友達を思いやる心をムダにしてしまう。
ゲイツのやさしさを知って、真実を言えずまた泣いてしまう生き残ったシンブンシたち。
すべて筋書きどおり仕組んだ「ゲイツ」。
最後の犯行も、証拠となる映像も、最初からすべて計算されて作られていました。
残されたシンブンシたちの未来の為に、すべての罪を背負って死んだのです。
ゲイツの夢は、「友達が欲しい」でした。
シンブンシたちの願いがすべて叶った瞬間。
彼らは、本当の友達になっていました。
映画はここで終わっています。
えーゲイツだけかわいそう。
釈然としない。
これが友達?
生き残ったシンブンシたちは、心を入れ替えて新たな気持ちで社会に戻り、人々に貢献し幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたしで終わるのでしょうか?
その後を考察
もしも続きがあるとしたら、
生き残ったシンブンシたちは、いつの日にか世間にすべてを話すでしょう。
それは、とても辛く苦しい選択となります。
やっとつかんだ幸せを手放すかもしれないのですから。
正直に話して、犯した罪を認め、
世間の人に自分たちのような人間がいることを知ってもらい
非難されても受け入れてもらおうと努力すると思います。
ゲイツは、生き残るシンブンシたちの未来を思って思いやりの行動をとった。生き残ったシンブンシたちは、この世にいなくなった友達ゲイツを思いやる行動をとるでしょう。
自分を犠牲にしても相手のためにできることをする。
それは、本当の友達だから。
泣いた赤鬼
なぜ、そう思ったのかというと
日本の童話名作「泣いた赤鬼」の話に似ていたからです。
「泣いた赤鬼」の話も、友達思いの青鬼が1人悪者になって去って行き
話は終わります。この映画のように。
でも、
あまり知られていませんが
「泣いた赤鬼」の童話にも話の続きがあります。
人間界で幸せに暮らしていた赤鬼でしたが、
いつの日も犠牲になってくれた友達(青鬼)のことを忘れたことはありませんでした。
そして、今までの事をすべて人間に正直に話してしまい、赤鬼も人間界から追放されてしまうという話です。
あなたには、分からない
あなたには、分からない
ゲイツがエリート警部補 吉野に言った言葉です。
努力が足りないと言われて、
頑張って死ぬ思いで這い上がって日本一になった人もいれば
どんなに一生懸命頑張っても努力しても、報われない人生もあるのです。
どんなに頭が良くて天才と言われている人でもです。
成功した人には分からない人生がある。
生きるには努力も勉強も必要だけれども、
努力したから、頭が良かったらといって、必ず結果が出るとは限らないのも人生なのです。
生き残ったシンブンシたちは、いつか、彼らが思っている本当のことを話すでしょう。
人生には、人の裏切りがあったり、悲しく辛い経験もある。
プライドをふみにじられるような出来事もあって罪を犯してしまったけれど、
それを反省してもう一度やり直して社会復帰したい、頑張って社会の一員になりたい
と思っている俺らのような人もいるんだということを話すと思います。
その時に世間の人たちは、「だまされた、ズルい、反省しているわけない、所詮底辺の人間」と揶揄するのでしょうか?
彼(シンブンシ)らのような、「相手の価値を認め、相手を思いやり、やさしさを持って理解し、相手の為にできることをする心」を持つことができる人が多くいる社会だといいですね。
良い映画でした。
さいごに
最初は、ありきたりな話でつまらなそうだなと思って見ていたのですが、最後に話が見えた時、悲しく切ない思いになりました。2度も見て2度泣きました。飛行機の機内映画で。
アリエールのCMでゲイツ(生田斗真)を見るたびに、映画とつながりはないけれど
今は幸せになれて良かったと涙してしまうほどです。
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